よくあるのは、矛盾する修飾が可能か、形容詞を強調不可能か、 であろう。
- (1)a. green blackboard != *green black board
- b. *truly blackboard != truly black board
日本語の場合、 「うすいいた」のように中間に屈折語尾があるものを句、 「うすいた」のようにないものを複合語とするのが、 形態論的には簡明である。
しかし、屈折語尾があるものでも矛盾する修飾語を付けることができるものがある。
- (2)a. 厚い薄い本 (「薄い本」"同人誌")
- b. 虹色の赤い糸 (「赤い糸」"運命の恋人を結ぶ架空の糸")
- (3)a. ??とても薄い本 (「薄い本」"同人誌")
- b.?とても赤い糸 (「赤い糸」"運命の恋人を結ぶ架空の糸")
- (4) ?小さい大声
- (5)a. *とても薄板
- b. ごく薄板
- c. とても薄い板
- d. ごく薄い板
- (6)a. とても薄味
- b. ごく薄味
- c. とても薄い味
- d. ごく薄い味
- (7)a. とても薄味な味噌汁 != *とても薄味の味噌汁
- b. ごく薄味な味噌汁 = ごく薄味の味噌汁
- c. ?とても薄い味な味噌汁 != とても薄い味の味噌汁
- d. ?ごく薄い味な味噌汁 != ごく薄い味の味噌汁
なお、 強意については、いわゆる関係形容詞の場合は不可能であることにも注意が 必要なはずであるが、日本語の場合には英語などの関係形容詞が「○○の」に なることが多い(例: British parties 「英国の政党」)ので、 それほど問題にならないであろう。