2015年4月29日水曜日

場所を表す「で」と「に」の対

場所の格助詞「に」「で」の 使い分けについて、 考えているがまとまっていない。

杉村(2002)菅井(1997) による、 「で」が背景として 「前景的な主格成分や対格成分を包含する空間領域を示す」 というのは方向性としては正しいと思う。 ただ、項ではなく、イベント自体ではないだろうか。

次の例では、場所を絞ることで、「に」から「で」に変わる。

  1. 蛸焼セットがあるの?
  2. 大阪の家は台所にあるよ。

次の例では「ブランコがあった」だけでは情報が不足な感じがするが、 「イベントがあった」だけでも不足な感じがしない。

  1. 公園ブランコがあった。
  2. 公園イベントがあった。

状態では位置を示すのが求められているのに対して、 動的なイベントについては位置は背景化しなければならないようだ。

  1. 公園丸太がごろごろと転がっている。
  2. 公園子供がごろごろと転がっている。
  1. (ドキュメンタリー番組で)先人たちは里山に暮してきた。
  2. (サスペンス番組で)逃亡者たちは里山で暮してきた。

次の例も同じように考えられそうだが、うまく説明できない。

  1. (家賃が上がると聞いて)もうこの部屋に住めないよ。
  2. (同居人と喧嘩して)もうこの部屋で住めないよ。