何かをいうことが何かを実行することになる遂行文(performative utterance 遂行発話)の概念は、言語哲学者の J.L. Austin による。例えば、命名するときに:
この船を第三鈴木丸と名付ける。
さて、英語のばあい、受動態の遂行文がある。
- You're fired!
- お前はクビだ。
- War is declared.
- 宣戦布告だ。
このようなものでは、 日本語に訳すときに、名詞文(コピュラ文)にすると落着きがよい。 日本語の受け身では「る」形で遂行文にならないようだ。
- (今ここで、)お前を解雇する。
- (今ここで、)お前は解雇だ。
- ?(今ここで、)お前は解雇される。
しかし、「た」形では、いくつかの条件をみたせば、 遂行文になるようだ。 それは、「代理」や「代表」として遂行するばあいである。 例えば、議長が手続き通りに決定するのであれば:
賛成多数。この法案は可決されました。
イザヤ書の6:7もこれではないかと思う。
- [ケルビム]はわたしの口に火を触れさせて言った。「見よ、これがあなたの唇に触れたので あなたの咎は取り去られ、罪は赦された。」 (新共同訳)
- With it he touched my mouth and said, “See, this has touched your lips; your guilt is taken away and your sin atoned for.”(New International Version)
- et tetigit os meum, et dixit:"Ecce tetigit hoc labia tua, et auferetur iniquitas tua, et peccatum tuum mundabitur." (Vulgata)
英語は現在の受動態であるが、ラテン語は未来の受動態である。 天使が神の代理として、罪を消している。
上の解雇の例文でも、横にいる社長がうなづいたあとで、 人事部長が書類を渡しながらながらなら、次のような例は許容されるとはずだ。
(今ここで、)お前は解雇された。
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