金田一春彦先生が、 1950年の「国語動詞の一分類」で 動詞を語彙的アスペクトにより4つに分類した。 なお、第4種の名称「形状動詞」は後に使われるようになったものだ。
- 状態動詞「ある」「いる」「出来る」「値する」 -- 「ている」が付かない。
- 継続動詞「笑う」「読む」 -- 「ている」が進行を表す。
- 瞬間動詞「死ぬ」「消える」 -- 「ている」が結果を表す。
- 形状動詞「そびえる」「面する」「優れる」「似る」 -- つねに「ている」で現れる。
例えば、「似る」では具体的な場合で現在の状態について:
- 今現在、太郎はお父さんに似ている。
- *今現在、太郎はお父さんに似る。
もちろん形状動詞であっても「ている」をともなわないばあいもある。
- [一般] 親は子に似る。
- [未来] 太郎は、痩せれば、お父さんに似る。
国広哲弥先生の『日本語学を斬る』(2015、研究社、p.129)では、 第4種の動詞が「ている」で使われることを「痕跡的認知」によるとして、 「結果」の比喩であると考えている。 名詞を修飾するばあいの形が、 このことをサポートになりうる。
- お父さんに(似ている|似た|*似る)人が、太郎だ。
しかし、形状動詞は、少なくとも現在では分けて考えるべきではないかと 考える。
「値する」は状態動詞であり、実際、青空文庫には「値している」が 検索しても出てこない。 ところが、 現在では形状動詞として使われる例が出てきている。
- その結果によれば、上記のデータは信頼性という点で総じてかなり高い評価に値している。
http://www.esri.go.jp/jp/archive/bun/bun116/bun116.html - 好意に値した人には命さえも惜しまない。
http://ameblo.jp/teirumon/entry-10374544265.html
また「優れる」などでは、名詞の修飾で「る」形が使われるばあいもある。
- センシング能力に優れる人と,安定した作業に優れるロボットの協同作業
www.kansai.meti.go.jp/2giki/kansai-seeds/2014/pdf/oit/oit017.pdf
形状動詞は、状態を表す動詞の下位区分にすぎないのだと思うが、 考えはまとまっていない。
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