2015年3月23日月曜日

金田一の動詞分類、第4種のアスペクト

金田一春彦先生が、 1950年の「国語動詞の一分類」で 動詞を語彙的アスペクトにより4つに分類した。 なお、第4種の名称「形状動詞」は後に使われるようになったものだ。

  1. 状態動詞「ある」「いる」「出来る」「値する」 -- 「ている」が付かない。
  2. 継続動詞「笑う」「読む」 -- 「ている」が進行を表す。
  3. 瞬間動詞「死ぬ」「消える」 -- 「ている」が結果を表す。
  4. 形状動詞「そびえる」「面する」「優れる」「似る」 -- つねに「ている」で現れる。

例えば、「似る」では具体的な場合で現在の状態について:

  • 今現在、太郎はお父さんに似ている。
  • *今現在、太郎はお父さんに似る。

もちろん形状動詞であっても「ている」をともなわないばあいもある。

  • [一般] 親は子に似る。
  • [未来] 太郎は、痩せれば、お父さんに似る。

国広哲弥先生の『日本語学を斬る』(2015、研究社、p.129)では、 第4種の動詞が「ている」で使われることを「痕跡的認知」によるとして、 「結果」の比喩であると考えている。 名詞を修飾するばあいの形が、 このことをサポートになりうる。

  • お父さんに(似ている|似た|*似る)人が、太郎だ。

しかし、形状動詞は、少なくとも現在では分けて考えるべきではないかと 考える。

「値する」は状態動詞であり、実際、青空文庫には「値している」が 検索しても出てこない。 ところが、 現在では形状動詞として使われる例が出てきている。

また「優れる」などでは、名詞の修飾で「る」形が使われるばあいもある。

形状動詞は、状態を表す動詞の下位区分にすぎないのだと思うが、 考えはまとまっていない。

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