2016年6月18日土曜日

南フランスの新地域圏の名称問題

フランスにおいて州にあたるものは région「地域圏」と呼ばれる。 ただし、ドイツやスペインの州のように権限が強いわけではない。 南フランスの地域圏のうちの Languedoc-Roussillon と Midi-Pyrénées が loi no 2015-29 により統合され、 現在は仮にLanguedoc-Roussillon-Midi-Pyrénéesと呼べれている地域圏がある。 この地域圏の名称が、6月24日に地域圏議会で決められる。 それに先立ち、委員会で候補が絞られ、ネットで意向投票が行われた。 (#leNomdeMaRegion http://www.regionlrmp.fr/le-nom-de-ma-region

候補となったのは、次のものである。

  • Languedoc
  • Languedoc - Pyrénées
  • Occitanie
  • Occitanie - Pays Catalan
  • Pyrénées - Méditerranée

この地域圏は伝統的な地域区分でラングドック(Languedoc, Lengadòc)地方 が大部分であるが、 ルシヨン(Roussillon, Rosselló)も含んでいる。 言語的には、オック語(オキシタン語 occitan) の地域が広く、ラングドック方言 (lengadocian) が大部分であるが、 東にプロヴァンス方言 (provençal)、西にガスコーニュ方言 (gascon) の地域も含む。 さらに、ルシヨンはカタルーニャ語(catalan, català)の地域である。 ただし、現代では住民のほとんどがフランス語に移っている。 継承語を使える人たちは、それほど多くない。 使える人たちでも若いものは、二言語の学校 Calendretaで学んだ人が多い。

問題になる名称は、Occitanie "オック語のくに" と Pays Catalan "カタルーニャ人のくに"である。

オック語は、この地域圏の他に Aquitaine-Limousin-Poitou-Charentes, Auvergne-Rhône-Alpes, Provence-Alpes-Côte d'Azur でも使われる。ただし、いずれの地域も他の言語圏であったところも含む。 そういう中でオック語全体のための Occitanie を使っていいのかという問題があった。 また、姉妹関係にあり、同じ少数言語として活動では助けあってきたカタルーニャ語の地域との関係も考えなければならなかった。

意向投票の結果が6月16日づけで出た。

コンドルセ方式なので、結果が複雑だが、 とりあえず約20万中の9万ぐらいが1位に Occitanie を選んだ。

とはいえ、人口550万を越える地域圏の20万なので、多くの人の無関心と一部の活動家の働きによる結果である。 Jornalet紙の記事にあるように、オック語の活動家の中でもこの名称に対する意見は分かれている。 また、あくまでも意向投票である。 Occitània の民族政党はいくつかあるが、 地方レベルにおいても環境派と結びついてようやく当選できることもあるぐらいのレベルなので、 議会での影響力はほとんどない。 おそらく対立をまねかない無難なものが選ばれるのではないかと考える。

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