2013年7月1日月曜日

格付与と「いっぱい感」

Goldberg による構文文法 construction grammar が流行っている。 そこでよく出てくるものの 1つのは、次のような対での意味の差である。

(1)a. Mary loaded the hay onto the truck.
   b. Mary loaded the truck with (the) hay.

a. ではトラックがいっぱいとは限らず(ただし、干し草は全体)、 b. ではトラックがいっぱいということである。

日本語の似た例を考えてみた。

(2)a. マリは、棚にバラを飾った。
   b. マリは、棚をバラで飾った。
(3)a. Aちゃんは、話にホラを盛った。
   b. Aちゃんは、話をホラで盛った。

英語の例ほど「いっぱい感」はないようであるが、(2)(3) いずれも a より b の 方がバラや噂が多いと感じるはずである。 しかし、下の(4)では、動詞の意味から「いっぱい感」は変わりようがないはずだ。

(4)a. マリは、瓶に水を満たした。
   b. マリは、瓶を水で満たした。

「いっぱい感」や「全体感」が出てくるのは、むしろ 対格の付与が示す受動者(patient)という役割から出ているのだと思う。 例えば、(2)b では、 少量のバラでは棚が影響を受けた感じがしないということにすぎない。

0 件のコメント:

コメントを投稿