下の Google Books Ngram Viewer のグラフを見て欲しい。 フランス語において venir "来る"の到達点を示すために、 どういう前置詞が使われてきたかの変化を調べようとして見付けたものだ。
込みいった式を使っているが、要するに venir のあとに à, en, dans が 来る場合の中で en が使われる割合を示すためのグラフである。 青のグラフが示しているのは、それまで 10% ぐらいだった en が次にくる 確率が 1830年代から急速に上がり 30% ぐらいになったということである。
Ngram Viewer から年代ごとの用例を確認できるので、 見てみたところ venir en aide が、予想外に多いことが分かった。 そこで分母・分子ともにこの表現を除いたのが赤のグラフである。 これでは 1830年のあたりでほとんど変化がない。
"助ける" という意味ので目的語に"彼ら"を付けて、 leur venir à, les assister, les aider の中での最初のものの 内訳のグラフは下のようになる。 他の 2つは Grand Robert の aide の項で参照として 挙げられているものである。
このグラフにより venir en aide à が19世紀中頃から20世紀前半に よく使われた表現であることが分かる。
辞書の項目に時代性の説明があるものが 手持ちの辞書やネットのものでは見付けられなかった。 TLFにも Syntagmes fréq. "頻繁な連辞" とあるだけである。
この例は、かなり大きなコーパスであっても、 実際の用例を確認しなければ、 熟語の流行という偶発的な要因で統語的な分析で誤る可能性があるという教訓になるであろう。