連濁をしないこと説明するために ライマンの法則が使われる。 ここで問題にしたいのは、前半に濁音がある場合である。 Wikipedia から引用しよう:
また、かつては前部要素のもつ濁音も連濁を阻止していたと言われており、 「ながしま(長島)」と「なかじま(中島)」などにその痕跡を見ることができる。
問題は、2つある。「○△田」のような名字について:
- 聞いたことがない名字でも△が濁音であれば、最後が/タ/になるので、 痕跡ではなく規則が生きていないと困る。
- その一方、百科事典的な知識を与えると最後が/ダ/でも可能になる。
例えば「鍵田」という名字がある(「鍵」は /カギ*/)。 この名字について知らない人に発音してもらうと /カ*ギタ/になる。 しかし、次のような背景説明をすると /カギダ/ が出てくる。
ほら、あそこに L 型の田圃があるでしょ。 昔の鍵の形で、この人の先祖はあの田圃のところに住んでたので、 こういう名字になったんだって。
同様のことは、今のところ実例が拾えていない「山羊田」でも なりたつ(/ヤ*ギ/)。 仮名として使われている場合は /ヤ*ギタ/ であるが、 《どうみても動物のヤギなのにクラスメートというギャグ漫画に出てくる人物》と すると/ヤギダ/が許される。
このことは、聞いたことがないような名字を使っても同様になる。 「海田」は複数の読みがあるが、/ウ*ミタ/ > /ウミダ/ の ようである。 これについても知らない人は /ウ*ミタ/ と発音する。 ところが、《先祖が2ヶ所に田圃をもっていて分家するときに海の方のをもらった》ということにすると /ウミダ/ が許される。
ということで、語構成の違いで、連濁の有無があると考えている。 ここで出したのは、アクセントが頭高で連濁せず、平板で連濁であるが、 その逆のパターンもあるので、 うまい定式化はできていない。
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