フランス語やその祖語にあたるラテン語から 同じ要素を数度にわたって英語が借用していることがある。
-ic も -ique もラテン語の (場合によっては対応するギリシア語からラテン語が借用した) -icum (対格, 主格は -icus) に由来する。
-ic は中世以降の書きことばとしてのラテン語からの借用である。 アクセントはこの前の母音にある。 例えば、Hellénic "ギリシア的な" である。 ラテン語のアクセント位置が保たれていて、 いわゆる古典語アクセント規則には従わない。
一方、 -ique はフランス語がラテン語から借用したものをさらに借用したものである。 例えば、uníque である。 比較的最近の借用で、アクセントはフランス語のアクセント位置が保たれ、 i にある。 大母音推移のあとの借用なので、 〈i〉であるにもかかわらず、/aI/ ではなく、/i:/ であることも注意したい。
ところが、これらは、 名詞化すると Hellenícity, unícity のように同じふるまいをする。
実は、mariage などの語尾 -age も -ic や -ique と関係があり、 -áticum に由来する。 これは古フランス語から中英語の段階で借用している。 古い語尾なので、アクセント位置は前半要素に移動している。 ただし、garage のように /Á:3/ で終る新しい借用語はフランス語の アクセント位置である語末にある。
古フランス語に由来する語、 古典語に由来する語、 近代フランス語に由来する語で同じような要素が借用されていて、 アクセントの規則が別々というのが、本当に面倒だと思う。
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