逃避中なので、確率についてのヨタ話。
確率論では、標本空間Ωの部分集合が事象なのだが、 その要素は どうでもいい。 これが確率のウサンクサさの 1つの原因なのかとも思う。 例えば、“コインを投げて表が出る”という事象を A とする。 この A は集合だ。だから ∩ とか ∪ とかを使う。 で、集合というなら、要素は何なのだろう。
ということで、様相論理の意味論で使われる可能世界を使ってみよう。 様相論理というのは、可能性や必然性を含めた論理体系で、 可能世界意味論で考えると、 全ての可能世界で真であれば〈必然〉であり、 ある可能世界で真であれば〈可能〉である。 このノリで確率を入れてみる。 例えば、コイン投げをする。可能世界の集合は、 コイン投げをすると、半分ずつに分かれる。 イメージとしては、可能世界が糸であり、確率的な現象により 糸の束がある割合で分かれる。 こういう風に考えることで、可能世界の集合は事象であり、確率を持っていると言い張ってしまおう。
このとき「客観確率」は、 何度やっても同じ割合で分かれる割合だ。 分かれかたがランダムであるなら、確率的に多くの可能世界では相対頻度と大数の法則で決められる。 いっぽう「主観確率」は、 (分母の中で条件にあてはまる可能世界の量)/(手持ちの情報で可能性がある可能世界の量) ということになる。 コイン投げの「客観確率」は、多くの可能世界においては繰り返すことで相対頻度が 1/2 に収束する。 「主観確率」は、ある 1回の投げについて、表裏が同じくらい確からしいという情報があるので、 結果が未知の状態だと 1/2になり、既知の状態では 1 か 0 になる。
で、例の火曜日の男の子問題。 私たちが使うのは「主観確率」だ。 ここで、自分がどの可能世界にいるかは分からないが、 どの可能世界でも子どものでき方は決まってしまっていることに気をつけよう。 やることは、可能世界の量を推測することだけだ。
〈2人子どもがいる〉という情報があるところで考えられる可能世界の量を Q とすると、 「2人とも男の子の確率」は、(1/4 * Q) / Q = 1/4。
〈(少くとも)片方は男の子だ〉という情報が加わると、 可能性がある可能世界の量が (3/4 * Q) に減るので、 「2人とも男の子の確率」は、(1/4 * Q) / (3/4 * Q) = 1/3。
〈その子は火曜生まれだ〉という情報が加わると、 可能性がある可能世界の量が (27/296 * Q) に減り、 この中で条件を満すものも (13/296 * Q) に減るので、 「2人とも男の子の確率」は、(13/296 * Q) / (27/296 * Q) = 13/27。
※ 〈(少くとも)片方は火曜生まれの男の子だ〉を加えても、 〈その子は火曜生まれだ〉を加えても、絞り込まれる可能世界の量は変わらない。 「その子」は文脈のものを参照していて、具体的な指示対象を確定していない。
なお、情報を絞り込むときに 具体的な子どもを示して、〈この子は男の子だ〉という情報を加えると、 可能性がある可能世界の量が (1/2 * Q) に減ってしまっているので 「2人とも男の子の確率」は、(1/4 * Q) / (1/2 * Q) = 1/2。
さらに〈この子は火曜生まれだ〉という情報が加わっても、 可能性がある可能世界の量が (1/14 * Q) に減り、 この中で条件を満すものも (1/28 * Q) に減るので、 「2人とも男の子の確率」は、(1/28 * Q) / (1/14 * Q) = 1/2。
で、結局 Q はどうせ消えるから考えなくてよい。つまり単なる条件つき確率になってしまう。
まあヨタ話。分かってるヤツはいちいちツッコまない。 分からない人は騙されよう。
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