2024年1月28日日曜日

クリシンとカルト (スラド日記 2014-08-21)

 ニセ科学批判の古典である、 ガードナーの『奇妙な論理: なぜニセ科学に惹かれるのか』 (II、早川書房)で 1つの章が「一般意味論 General Semantics」に割かれている。 「一般意味論」は、 コージブスキーが提唱した「活動プログラム」である。 日系人で後に政治家にもなったS.I.ハヤカワが 大学生向けの教科書『思考と行動における言語 』で 大衆化した。

ガードナーによる評価は僕も同感である。

コルジブスキー[sic]が健全である場所では、彼は独創的でない。 そして彼が独創的である場所では、 彼を「正気でない」と考えざるをえない理由が十分に存在する。[p.256]

ハヤカワも含めますます多くの会員たちが、コルジブスキー[sic]のもったいぶった 著作の中で価値あるものはほとんどすべて、 ほかの人たちの書いたものの中にもっと系統立てて説かれているのを発見しつつある。[p.257]

カルトとしての「一般意味論」はもう勢力が弱まってはいるが、 自己啓発系に影響がある。 例えば、NLPやScientology。

一方、 カルト臭の薄いハヤカワの教科書はいまだにクリティカル・シンキングなどのものとして大学で使われている。 とはいえ、 英米言語哲学の入門書に元のアイディアがだいたいソース付きで書いてあるので、 懐古趣味以外の理由でこれが読まれ続けている理由が個人的には分からない。

ちなみに『非Aの世界』の元ネタ。 A.E. van Vogt がトンデモを渡り歩いたことを考えると、 クリシンに役に立つんだろうかと……。

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