2024年1月28日日曜日

生物学者と論理学者としてのアリストテレスはイケてると思う (スラド日記 2016-06-14)

 物理学者のワインバーグの科学史本のインタビューを見たのであるが、 その前あたりに Kindle版 To Explain the World: The Discovery of Modern Science (Steven Weinberg, Harper, 2015)を 逃避で読んでいた。 科学史なんだけど、実質的には物理学史。 地上のことと天上のことが同じ数学で語られるようになるまで。 科学基礎論関係に対して、冷淡なので、 アリスオテレス、デカルト、F・ベーコンをディスる。

ホィッグ(ウィッグ)史観だという評価もあるけど、 構想はともかく、 書き方としては、それほどでもないと思う。 Technical Notesがついていて、 扱っている題材について、巻末に解説がある (けど、リンクが各項目に向けてでなく、 Technical Notesの最初なのが残念)。 それぞれの項目では社会的なところもそれなりに丹念。 ただし、今の物理に関係しないところを省く。 例えば、論理学の話が弱いので、 アリストテレスが中世盛期に権威化していく話がよく分からなくなる。 ヘレニズム期を古典期よりもちあげて、 そこで出てくるのがアリストテレスの弟子たちなんだけど、 アリストテレスの観察重視の説明がないとやはりよく分からなくなる。 アリストテレスが動物の観察が得意でも、 物理現象の観察が苦手という話だと思うんだが。

近代にガリレオ・ニュートンの大文字・定冠詞の科学革命、 つまり、科学の方法自体の発見があったという構想は、確かにホィッグ史観的。 これはこれですっきりなんだけど、 そう単純化していいのか疑問。 実は、 名称としてだと、 物理学 physics が自然哲学 natural philosophy から分かれたのが、 自然科学の中ではとくに遅い。 physicist 物理学者なんて、19世紀半ばからだから。

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