2024年1月29日月曜日

確率の問題は印象ではなく計算で答えるように (2016-11-28)

 意志決定問題としては、好きにすればいいけど、 期待値は勘でなく計算で出そう。

得はどうかはおいといて、開封したときの期待値の問題にする。

2つの区別できない封筒があり、片方にはもう片方の倍の金額が入っている。 開封後に一度だけ交換できる約束のとき、X円入っていた。 もう片方の期待値は何円か。

期待値の定義を確認すると、 確率関数がp(x)のとき、 f(x)の期待値はΣf(x)p(x)。 つまり、当然だけど、期待値は確率分布に依存する。

ところが、この問題には確率分布が書いてない(ここで、アレって思うこと)。

こういうばあい、数学の問題のお約束としては、 可能なすべての答えを出さなければならない。 つまり、全部の確率分布における答えを出さないといけない(この時点で、解が複数あったり、不定だったりすることを覚悟)。

例えば、 X円、X/2円の封筒が1つずつしかないときに、 「片方にはもう片方の倍の金額が入っている」と言われても嘘ではないし、 開封したらX円入っていることはありうる。 そこで、答えの中に、このときの期待値 -X/2円が含まれていないと困る。

同様に、X円、2X円の封筒が1つずつしかないときに、 「片方にはもう片方の倍の金額が入っている」と言われても嘘ではないし、 開封したらX円入っていることはありうる。 そこで、答えの中に、このときの期待値 X円が含まれていないと困る。

こういうふうに全部の確率分布を調べていくわけにはいかないので、 確率分布を文字式で処理する。

胴元が封筒にx円を入れる確率をp(x)する。 X円が入っているとき、 胴元が 3X/2円入れていれば、増減は -X/2円。 3X円入れていれば、増減は +X円。 前者の条件つき確率が p(3X/2)/(p(3X/2)+p(3X))、 後者の条件つき確率が p(3X)/(p(3X/2)+p(3X)) なので、 期待値は ((-X/2)p(3X/2)+Xp(3X))/(p(3X/2)+p(3X))。

このままだと評価しにくいので、p(3X)/(p(3X/2)+p(3X))=q とおく。 そうすると、期待値は X(3q-1)/2。 0≦q≦1 なので、-X/2≦期待値≦X。

この問題が混乱しやすいのは、 確率分布が与えられていない不定の問題にもかかわらず、 確率分布が1つあるような気がしてしまうから。 そうすると、 《わからないから一様分布だ》バイアスが炸裂するので、 q=1/2のときの期待値 X/4 円だと思い込んでしまう。

《いろいろなばあいを考えている俺は正しいはずだ》と ここまで説明しても思っている人はいるだろうけど、 その思いうかべたものは、 複数の確率分布をごっちゃにしたもので、 数学的にはあつかえないからね。

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