「母数」を《分母》の意味で使うのが古いことを書いた次のブログが 話題になっているようだ。
- タロタン. 2016-08-15. あのひと、私が「分母の数」のことを「母数」と言ったら、どんな顔するだろう? 『Tarotanのブログ』 http://tarotan.hatenablog.com/entry/2016/08/15/232427
自分の関連する過去日記を発掘 (slashdot.jp 時代に比べて、Googleで出しにくい……):
- 2015-02-17. とりあえずメモ「母数」http://srad.jp/~tagga/journal/590040/
- 2015-02-18. メモのつづき「母数」http://srad.jp/~tagga/journal/590061/
補足その1: 語の歴史を調べるときには、とりあえず『日国』こと次のものを引きましょう。それなりの規模の図書館には入っているはず。
- 小学館国語辞典編集部. 2000-2001. 『日本国語大辞典』第2版. 小学館.
辞書の編集方針には、歴史主義、記述主義、規範主義があるが、 現代のほとんどのものは、記述主義。 この辞書は英語のOED同様、歴史主義で、古い語義から例証をつけて記述している。
補足その2: 古い用例があることは、現在も「正しい」ことを意味しない。 規範は社会的な約束にすぎず、時代により変化する。
補足その3: 「母数」の《元金》の用例を『国会図書館コレクション』で 発見。
- 長沢亀之助(編). 1899. 『算術教科書 : 中等教育』訂14版. 大阪: 三木書店.
歩合 = 子数÷母数, 母数 = 子数÷歩合, 子数 = 母数×歩合.
同じ頃の藤沢利喜太郎の教科書では、「子数」「母数」は「歩合高」「元高」になっていた。 「元高」が金銭のときに「元金」。 藤沢は次の時代の国定教科書「黒表紙」の方針をまとめた人。 後者が広まり、前者は忘れられていったのだろう。
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