2024年1月28日日曜日

[過去日記] 《分母》の意味の「母数」(スラド日記 2016-08-17)

 「母数」を《分母》の意味で使うのが古いことを書いた次のブログが 話題になっているようだ。

自分の関連する過去日記を発掘 (slashdot.jp 時代に比べて、Googleで出しにくい……):

  1. 補足その1: 語の歴史を調べるときには、とりあえず『日国』こと次のものを引きましょう。それなりの規模の図書館には入っているはず。

    • 小学館国語辞典編集部. 2000-2001. 『日本国語大辞典』第2版. 小学館.

    辞書の編集方針には、歴史主義、記述主義、規範主義があるが、 現代のほとんどのものは、記述主義。 この辞書は英語のOED同様、歴史主義で、古い語義から例証をつけて記述している。

  2. 補足その2: 古い用例があることは、現在も「正しい」ことを意味しない。 規範は社会的な約束にすぎず、時代により変化する。

  3. 補足その3: 「母数」の《元金》の用例を『国会図書館コレクション』で 発見

    • 長沢亀之助(編). 1899. 『算術教科書 : 中等教育』訂14版. 大阪: 三木書店.

    歩合 = 子数÷母数, 母数 = 子数÷歩合, 子数 = 母数×歩合.

    同じ頃の藤沢利喜太郎の教科書では、「子数」「母数」は「歩合高」「元高」になっていた。 「元高」が金銭のときに「元金」。 藤沢は次の時代の国定教科書「黒表紙」の方針をまとめた人。 後者が広まり、前者は忘れられていったのだろう。

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